マズローの欲求5段階説をこの上なく丁寧に解説する。あなたの欲求はどのレベル?

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こんにちは、株式会社Meee代表のやぎぺーです。

 

心理学の用語の中でも、「マズローの欲求5段階説」という名前を聞いたことがある人は多いでしょう。

経営学にも応用されている理論で、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとに作られた理論です。

 

実はこの理論、自己理解を深めていくにあたって非常に役に立ちます。

このページではそんなマズローの欲求5段階説を解説します。

 

 

目次

アブラハム・マズローとは

アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908年4月1日 – 1970年6月8日)は、アメリカ合衆国の心理学者。

ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区に生まれる。彼は人間性心理学の最も重要な生みの親とされている。これは精神病理の理解を目的とする精神分析と、人間と動物を区別しない行動主義心理学の間の、いわゆる「第三の勢力」として、心の健康についての心理学を目指すもので、人間の自己実現を研究するものである。彼は特に人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)を主張した事でよく知られている。

出典 : アブラハム・マズロー – Wikipedia

 

欲求5段階説とは

欲求5段階説は、1943年にマズローが発表した論文「人間の動機づけに関する理論」で世の中に出ました。

人間みんな持っている5つに階層化された欲求について解説しています。

その5つの欲求が以下。

  1. 生理的欲求
  2. 安全の欲求
  3. 所属と愛の欲求
  4. 承認の欲求
  5. 自己実現の欲求

1-5番の優先順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れます。

そして、どの階層の欲求に取り組んでいるかと、その人の健康度は比例します。

 

また、人間は「欲望」を持つことを悪いことだと捉えがちですが、マズローによると、人間が一定して持つ基本的欲求から生まれる欲望は決して悪ではありません。

欲求を抑えるよりも、引き出して満たした方が、より健康になり、より生産的になり、より幸福になることができると考えられています。

 

また、実は晩年のマズローによると5番目の「自己実現の欲求」は2つの階層に分かれることが分かっています。

  • 超越的でない自己実現欲求
  • 超越的な自己実現欲求

 

なので、「マズローの欲求5段階説」は「マズローの欲求6段階説」と表現した方がより正確です。

 

それでは各欲求について解説していきます。

 

1.生理的欲求

生理的欲求は人を動機付ける最も根源的な欲求。

  • 酸素
  • 食物
  • 飲料
  • 睡眠

など人の生命維持に関わるものが生理的欲求にあたります。

 

2.安全の欲求

飢えなどの生理的欲求がある程度満たされると、この「安全の欲求」が現れます。

  • 身の安全
  • 身分の安定
  • 他人への依存
  • 保護された気持ち
  • 不安・混乱からの自由
  • 構造・秩序・法・制限

などを求めるのが安全の欲求です。

明るい場所に慣れた現代人が真っ暗な森に入ると、恐怖を覚えると思います。
これは外界に対する防衛的態度の現れで、安全の欲求から現れる反応です。

マズローによると、生理的欲求と同じくらい安全の欲求は強いものだとされています。

 

3.所属と愛の欲求

生理的欲求と安全の欲求が満たされると、「所属と愛の欲求」が現れます。

  • 孤独や追放された状態を避ける
  • 根無し草で生きている状態を避ける
  • 家族や恋人、友達、同僚、サークル仲間など共同体の一員に加わりたいと思う
  • 周囲から愛情深く暖かく迎えられたいと思う

以上のようなものが「所属と愛の欲求」です。

 

4.承認の欲求

「所属と愛の欲求」が満たされると、今度は「承認の欲求」が芽生えてきます。

「承認の欲求」は言い換えると、「尊厳の欲求」や「自尊心の欲求」とも呼ばれています。

この承認の欲求は2つに分かれます。

  1. 自己の自己に対する評価の欲求…強さや達成、熟達、能力への自信、独立や自由など、自己をより優れた存在と認める、自尊心とも言えるものへの欲求
  2. 他者からの評価に対する欲求...評判や信望、地位、名誉、優越、承認、重視などを求める欲求

この承認の欲求が満たされると、自分は世の中で役に立つ存在だという感情が湧いてきます。

逆に満たされないと、焦燥感や劣等感、無力感などの感情が現れてきます。

 

5.(超越的でない)自己実現の欲求

「自己実現の欲求」とは、人が潜在的に持っているものを開花させて、自分がなり得る全てのものになり切りたいと感じる欲求です。

つまり、より一層自分らしく生きたい欲求のこと。

自分らしい生き方の作り方は自分らしさとは何か。自己理解の専門家が見つけ方を解説するで解説してあります。

 

どれだけ下位の欲求が満たされても、人は自分に適していることをしていない限り新しい不満が出てきます。

自己実現の欲求についてマズローは以下のように述べています。

自分自身、最高に平穏であろうとするなら、音楽家は音楽をつくり、美術家は絵を描き、詩人は詩を書いていなければいけない。人は、自分がなりうるものにならなければいけない。人は、自分自身の本性に忠実でなければならない。このような欲求を、自己実現の欲求と呼ぶことができるであろう。

出典「人間性の心理学

 

6.(超越的な)自己実現の欲求

マズローが晩年に発見した「超越的な自己実現の欲求」。

「超越的でない自己実現」と「超越的な自己実現」を分ける最大の特徴は「至高体験」の有無です。

  • 超越的でない自己実現者…自己実現はしてるものの至高体験がほとんどない自己実現者
  • 超越的な自己実現者…至高体験を持つ自己実現者

マズローの言う至高体験とは「注意を完全に保持するに足るような興味深い事柄に魅惑させられ、熱中し夢中になること」のことです。

ミハイチクセント・ミハイが提唱した「フロー体験」とほぼ同じです。

つまり、超越的な自己実現の欲求とはフロー体験を求める欲求と言えます。

 

欠乏動機と成長動機

マズローは欲求階層説を発表した後で「欠乏動機」と「成長動機」と言う考え方を発表しています。

  • 欠乏動機…足りないと不満足が生じるもの(整理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求)
  • 成長動機…成長することそれ自体が目的になるもの(自己実現の欲求)

欠乏動機は満たされていないと病気になってしまいます。

欠乏動機はある程度満たされると、人は飽きてしまってその欲求自体を忘れてしまい、成長動機へ向かいます。

 

一方、成長動機で動いている人はある程度満たされても、満足しません。

どこまでも追い求めて、飽くなき追求を続けて行きます。

 

別の見方をすれば、欠乏動機である安全や所属・愛情・承認などの欲求は本人以外の別の人だけがその欲求を満足させることができます。

なので、欠乏動機を満たそうと生きている人は環境に依存していると言えます。

 

逆に、成長動機で生きている人は自分自身の成長に集中しています。なのでその欲求を満たしていけるのは自分だけです。

このことから成長動機で生きている自己実現者は自律的で独立的であると言えるでしょう。

 

欲求の順番は人によって違うことがある

マズローの欲求階層説を表す時に必ずと言っていいほど、出てくる図があります。

実はこの5段階のピラミッドはマズローが考案したものではありません。

この図を見ると、欲求の優先順位が一目瞭然になるというメリットがあります。ですが「欲求の優先順位が固定的なものと錯覚してしまう」というデメリットもあります。

マズローも指摘している通り、5つの欲求の階層は不動のものではなくて人によって微妙な違いが見られるということを忘れてはいけません。

例えば、自己実現のために行われる「創造」という行為が三度の飯より好きという人がいます。

ゴッホなどはその典型例で、生理的欲求よりも自己実現欲求が強い人と言えるでしょう。

 

「人によって欲求の順番が違う」と言われても分かりづらいかもしれませんが、精神科医の泉谷閑示さんの解説でその意味が分かったので引用しておきます。

人は、それが「満たされる可能性がない」という真に行き詰まった状態に陥った時、あるいは「もう満たされている」ので、あえてそこに意識を向ける必要がなくなったような時に、初めて自身の「生き死に」、つまり「自分の生が限りあるものであること」が視野に入ってくる。そして、そこから必然的に「なぜ生きるのか」という実存的な問いが析出してくるのではないか

出典 : 仕事なんか生きがいにするな

基本的には、下位の欲求から満たされ、上位の欲求が現れてきます。

しかし下位の欲求が「満たされるはずがない」と諦めた時にも、上位の欲求が現れてくるということです。

 

マズローの欲求階層論がよく分かる話

マズローが引き合いに出した「ジャングルで暮らす人物」と言う挿話を紹介します。

ここに、ジャングルで暮らす人物が5名います。

まずAは、危険なジャングルで数週間暮らし、時々食べ物や飲み水を見つけては飢えをしのいでいます。

次にBです。この人物はただ生きているだけではなく、ライフル銃を持ち、中から閉められる扉のついた洞穴の隠れ家で暮らしています。

3番目のCは右記のものを全て持つとともに、一緒に暮らす2人の男がいました。

さらに4番目のDは食べ物や隠れ家のほかに、親友と一緒に暮らしています。

そして最後のEです。この人物は右に掲げたものをすべて持ち、しかも彼は集団のリーダーとして皆から広く尊敬されています。

このジャングルで暮らす5人はマズローの示した各欲求階層のそれぞれのレベルで生きています。

  • A…生理的欲求
  • B…安全の欲求
  • C…所属と愛の欲求
  • D…承認の欲求
  • E…自己実現の欲求

 

相手が何を求めているのか、欲求5段階説から考えてみる

整骨院を経営されている吉原 祐樹さんは、マズローの欲求5段階説を活かして以下の順番で治療されているそうです。

  • 痛みを取り除く→整理的欲求
  • 体が良い状態をキープする→安全の欲求
  • 患者さんとイベントをする→所属と愛の欲求
  • よりキレイな身体を実現する→承認欲求
  • 患者の人生を応援する!→自己実現の欲求

相手が今何を求めているかも、欲求5段階説から考えることができます。

 

まとめ : 今の自分の欲求の位置はどこか?

マズローの欲求階層説を自分の生活に活かそうと考えた場合、自分が今どの欲求と向き合っているのかを考えて見ましょう。

僕の場合は、4.承認の欲求5.自己実現の欲求を行き来して生きている状態でした。

承認の欲求が満たされていないときは「どうやったら周りに認められるかな?」と考え、
調子が良く満たされている時には「どうすればもっと成長できるだろうか?」と言う自己実現の欲求に従っています。

 

自分が今どの段階にいるのか分かると、どうやって欲求を満たして行けばいいか分かりますよね。

「お金が欲しい」と言っている人は多いですよね。

ですが、お金は直接的な欲求ではありません。お金の欲求というものは存在しないからです。

「お金が欲しい」と思った場合、自分に対して「お金を手に入れた結果欲しいものは何なのか?」と自問自答して見ましょう。

  • 「しっかりご飯が食べたい」なら生理的欲求です。
  • 「安心できる場所に住みたい」なら安全の欲求です。
  • 「彼女が作りたい」なら所属と愛の欲求です。
  • 「他人からチヤホヤされたい」なら承認の欲求です。
  • 「自分を表現するため」なら自己実現の欲求です。

 

その欲求は本当にお金を手に入れれば満たせるものでしょうか?

自分の欲求に真正面から向かい合わないと、いつまで経っても「お金を稼げるようになったのに何で幸せになれないんだろう?」と思い続けることになるかもしれないので。

 

こうして自分の欲求と向き合うために、マズローの欲求5段階説を活用していってください。

 

 

参考文献

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